環境のために?プル・サーマル

もくじ


プル・サーマル

よくわからない言葉ばかりなので、関連の用語を調べて整理してみました。 プル・サーマル計画は (1).プル:プルトニウム ( 長崎型原爆の原料 ) を (2).サーマル:サーマル・リアクター( 熱中性子炉 )で燃やす。 つまり「全国各地の老朽化したウラン235 用原子炉内で、予定外のプルトニウム239 を、燃料に使う」計画です。 ある電力会社の解説によると「プルサーマル」とは、 「 燃えやすいウランの代わりにプルトニウムを使います」 とあります。「プルトニウムはウランに比べて燃えにくい」のでしょうか? 「制御実績のあるウラン235 の代わりに、長崎型原爆の原料==プルトニウム239 を使います」 と書くのが、誠意ある表現だと思いますが、営利企業なのでやむなし でしょうか? 企業の広報だけが悪いのではないかもしれません。国は監督しているのではなく、原子力政策を電力会社に押しつけています。 なぜいま、「プル・サーマル計画」なのか、もっと多くの市民が、歴史と背景を知る必要があると思います。 用語がさっぱりわからないので、「知らないまま」にしてませんか? 「ややこしいことは専門家が、ちゃんとするだろう」と思っていませんか? 「国が監督しているから善処するだろう」なんて今時、本気で思っていますか? わからない、難しいと、知らないままで済まさずに、少しでも知り、 「子供たちに自分たちが何を残したいか、何を残したくないか」 わずかでも考える時間を作ることができれば、何かが変わるかもしれません。

みんな小さな原子核のあつまり

ダーコロさんの weblog だったか...
きっといつか誰もが土に帰り燃やされて、 その組成物は小さな原子になって空を舞い、流れ、海を漂い、 そしてどこかに宿り いつかまた何かしらの生命の一部になるのだ
という文章を読みました。 そうだねぇ くらげかもしれないけど ふわりふわり...と それもいいよね〜 と、こころ洗われる想いで読んだのですが...生命は、明日死に絶えるかも知れない

環境イメージ広告

テレビ・コマーシャル、新聞全面広告で「環境のために」が目立つ 環境のために行動することは大切だが、考えずに行動してはいけない 「環境のためのプルサーマル」というイメージを市民に刷り込もうとしている テレビ、新聞に大きく映るのは、健やかな子供達の姿である 「リサイクル=よいこと だから..せねば」 # ( 市民は、なにも考えず賛成すればよい ) # 意図がそのまま伝わってくる 2004年、全国の電力会社は、プルサーマル( MOX )導入のため地元説明会→町村議会→県議会:承認を必要としている 電力会社のみならず、国も、広告宣伝費( 税金 )を各種メディアにつぎこんでいる テレビ局も新聞社も、広告主は「収入源」なので、広告内容について一切、批判することはない 非営利法人で、NHKというのもあるが、元来が国有物なので大きな期待はできない

二酸化炭素とプルトニウム

二酸化炭素による地球温暖化を根拠に、プル・サーマルが必要だと訴える団体がたくさんある # ( ほとんどが国に補助金をもらった機関 ) 「京都議定書の二酸化炭素排出量削減のために原子力発電所が必要」 と訴えている 50年、100年後に予想される地球温暖化と、ある日突然、青い空に死の灰が舞うのとどちらが危険なのだろう? 二酸化炭素の心配は、じっくり対策研究に取り組めるが、核施設に事故があれば、その瞬間に広範囲の犠牲者が出ることは間違いない 核燃料サイクルの研究や実験にかける予算と、未確立な放射性廃棄物処分にかける予算を考えれば、違う方法で二酸化炭素削減が 10年以内にできるのではないだろうか? 放射能汚染は、何万年、何億年と消えない 健やかな子供たちに、残す負債を選べるならば 二酸化炭素と放射性物質 どちらが賢明だろうか?

プルトニウム

「プルトニウム:原子番号 94 :Plutonium 」 は、 人間が創り出した元子で「天然には存在しない」 という 特徴
放射能アルファ線を出す 毒性が強く微量でも体内に入ると肺ガンを起こす 熱中性子で核分裂を起こす
同位体
239 : 長崎型原子爆弾 99%:兵器級 ほとんどの核弾頭がこのタイプ 240 : 爆弾には適さない 3%:高純度 7%:兵器級 19%:燃料級 それ以上:原子炉級 241 : ? # 240が少なく、239が多いほど高純度→兵器級と言われる
誕生
1941年に シーボーグが核反応で Plutonium 238 を創る 1942年に シーボーグが核分裂性の Plutonium 239 を創る これを増産したのが「マンハッタン計画」 1945年に 長崎に Plutonium 239 を用いた爆弾が投下される
増殖
今日も全国各地の原子力発電所で、プルトニウムが生産されている ウラン235 の核分裂に伴い放出される中性子を、核分裂しないウラン238が吸収しプルトニウム239 に変化する 炉内で生まれたプルトニウム239は、熱中性子を受けて、さらに核分裂を続け熱を発生する これが、「原子力発電所の電気の n割は、プルトニウムが作りだしています」の意味である 原子力発電所を運転するということは、プルトニウム239は生産するということである
「ウラン:原子番号 92 : Uranium」 天然ウラン鉱には、核分裂する 235が0.7% 238が 99.3%(核分裂しない) ごくわずかな 234が含まれる 核燃料は、235を人工的に濃縮したものが用いられる>岡山県人形峠:動燃:化学濃縮法 広島型原爆は ウラン235 を 93% に濃縮したウラン爆弾である 劣化ウラン弾 ウランは、比重 19と重く砲弾に使われる。劣化ウランとは、235の割合が少なくなり燃料として使用できなくなったもの 235の割合は減り燃料に使用できないが、238を多量に含むことに変わりなく放射線を出し続ける ( これを世界各地のアフガニスタン、イランといった戦場に、 そして沖縄基地をはじめとする非戦闘地域にまでも、 ばらまいて平然としているのがアメリカ合衆国である )

被爆による影響

広島・長崎でおよそ 60万人の放射線被曝が確認され、追跡調査が続けられている 被爆後の健康調査結果から特徴を以下に示す

半減期

放射能の強さが半分になるまでの期間( half-life )を以下に示す
プルトニウム 239 約 24,000年 ウラン 235 約 7億年 ウラン 238 約 45億年 半減期の短い同位体ほど比放射能が高い http://www.jnc.go.jp/park/q-a/housya/03.html 原子炉級プルトニウムは核兵器級に比べてα放射能に関しては 約5倍、α+β放射能では約11倍の放射線強度を持っている 核兵器級では半減期約2万4千年のPu-239の放射能が大部分を占めるが、 原子炉級では半減期約3年のPu-238(α崩壊)が重量比では2%であるものの、 重量比61%のPu-239(α崩壊)の全放射能の約10倍にもなること、 半減期約14年のPu-241(β崩壊)が重量比10%で同じく約80倍にもなる 出典:日刊工業新聞社「プルトニウムの安全評価」松岡 理著 # 原子炉級プルトニウムは、核兵器級プルトニウムの 11倍の放射能を出すそうです。

核燃料サイクル

核燃料サイクル( nuclear fuel cycle )とは国による「無限に燃料をリサイクルできる夢のエネルギー」計画である (1)「ウラン238を原子炉でプルトニウム239に変えることができる」 うまく設計すれば (2)「消費したウラン235よりも多くのプルトニウムをつくりだすことができる」 ( 増殖炉( breedep reactor )が実現すれば ) という夢のエネルギー理論である かつては実現可能と真剣に信じている研究者が多かった 国は膨大な税金を、核燃料サイクルの実用化へ向けての研究につぎこんでいる また、1968年( OAPEC ) - 1972年( 中東戦争 )の石油危機により一般に「資源を持たない国」という認識が広まったことも、追い風となった この計画はは、増殖炉が実用になって初めて完成する 茨城県の「常陽」、福井県の「もんじゅ」「ふげん」が、そのための実証実験施設だが、事故で運転を停止している さんざん税金をつぎ込んだあげく、 現在の技術において実用にならないことを自ら実証 しているのが現在の状況である 理論的には正しいのだが、その制御が難しすぎるのだそうだ

あふれるごみ

核燃料サイクルの研究に、国がつぎこんだ税金は膨大で、引くに引けないのも分かるが ウラン燃料を使う原子力発電所は「 放射性ごみ 」( 使用済み核燃料:radioactive wastes )を出し続ける プルトニウム239は、イギリス・フランスで再処理し分離して日本に戻ってくる しかし、戻ってきても未だ「それを燃やす増殖炉がない」 国と電力会社は、「放射性ごみ」の捨て方が未確立な状態で「営業運転」を始めた 捨て方、捨て場所を考えていなかった 「捨て方は将来、誰かが解決するだろう」という態度である ( もしかすると当時の政治家・官僚は「とりあえず自分の生きている間のごみ置き場は確保した」と考えていたかも知れない ) 運転開始から 30年を越える時代になり、準備した「ごみ置き場」は、まもなくあふれる ごみを出せないとなれば、原子力発電所の運転を停止せざるを得なくなるのも時間の問題である ( 2010年にこだわるのは、ごみ置き場の問題なのである ) 国側のメリット 発電コスト試算 日本国の原子力委員会は、2004/10/07 に、 「使用済み核燃料を再処理した場合、直接処分した場合に比べ 1.8倍コスト高」 と報告した 1KW あたりの発電単価は以下の通り ( 2002-2060年の 59年間を四種類のシナリオで試算 )
  1. 0.9〜1.1円 全量直接処分
  2. 1.1〜1.2円 当面、地上で貯蔵
  3. 1.4〜1.5円 一部を再処理
  4. 1.6〜1.6円 全量再処理
ちなみに、四国電力の総発電量のうち、1/3は余剰分で、関西などへ売電している。

MOX : 混合酸化物燃料

( Mixed oxide fuel )の略語で MOX、複数の酸化物を混合した燃料であるという意味... ... 全然、本質が伝わってこないように意図して名付けられたとしか思えない略語だが、 UO2( 二酸化ウラン) と PuO2( 二酸化プルトニウム )を混合してペレット状にしたもの 本来、核燃料サイクルの中核となるはずだった、「高速増殖炉」で使用する目的で研究、開発されたものである 動力炉・核燃料開発事業団( 1956/08設立の特殊法人 )が、かなり昔から技術開発を進め、生産を続けている 従来の ウラン235( 3〜8% )の替わりに、原子力発電所の運転で廃棄物として出続ける プルトニウム239( 4〜9% )を入れた核燃料である 電力会社の広報がなぜ「4〜9%」と倍以上の幅で表記しているのか不思議だ # 核燃料の含有率は、そんなにばらつきがあるのだろうか? # 3.7牛乳 のようなわけにいかないのか? 大いに疑問 増殖炉実用の見通しが立たないため、この燃料を軽水炉に転用しようというのがプルサーマル計画である

プルサーマル計画

プルトニウムを燃やすはずだった高速増殖炉が頓挫したため、増え続けるプルトニウムの処分に困り、既存の軽水炉で使ってしまおうというのが、「プルサーマル計画」である ( プルサーマルは、日本人による造語なので海外では通用しない ) 電力会社や、国の広報では「燃料のリサイクル」というが、本当は、 増え続け置き場も捨て場もない困ったゴミを「燃やせるなら燃やして処分しよう」ということだ 現在の原子炉は、どれもウラン燃料を使うことを前提に設計されている プルトニウムを燃料にすることは、まったく想定していなかった使い方ではないだろう 計算した結果、この程度の比率なら MOXを使っても「たぶんなんとか大丈夫だろう」というつぶやきが聞こえてきそうだ 初期段階では、新しい原子炉から始めるだろうが、いずれ、なし崩しにすべての原子炉に使用されるのは目に見えている 全国の原子力発電所には、運転開始から、30年以上経過した原子炉が多数ある 電力会社と国は、点検・監査の結果、まだまだ使える:あと20年は大丈夫と言っている ( プラントとしては、すでに減価償却を終えており、地元自治体には固定資産税が入らないという問題もある ) 2004/08 福井県美浜町の原子力発電所で、国内核施設最悪の死者を出す事故が起きた 原因は、「二次冷却水配管の検査漏れ・破断・蒸気噴出」で放射能漏れはないそうだ しかし、太古の火力発電所にもあるような二次冷却水配管などという、単純な構造物で事故を出したことは余計に問題が大きい # そのような構造物の検査もできない会社、そして監査のできない国に、各施設を運転させているということに恐怖を感じます # 複雑で老朽化したプラントに、設計者の想定しない燃料を入れて # 目に見えないプルトニウムに火を付ける運転員の表情が見たいものです。 # 設計も審査も運転も人間がやることなので、過去にどれだけの実績があろうと # いつかだれかが失敗して放射能は漏れる # のは間違いないでしょう。( 50年先か、100年先かもしれませんが:明日かも知れません ) # 運転の是非を決めるのは、行政でしょうか? # 司法は、事故後の示談にしか役に立たないような気がします。 # 立法は行政府と抱き合わせなので、現状機能していないでしょう # 誰が判断するのでしょうか? # 周辺 15kmの地元住民だけでしょうか?村長?町長?知事? # 誰もが国からの補助金に、よだれを垂らしているように思えてなりません # 農業・商業・工業・交通の未整備な地区住民を、国民から集めた税金の山を積み上げて押し切る # そんな光景が目に浮かびます

死者の国の王

プルトニウムは自然界にほとんど存在しない元素 その語源は...「Pulton == 冥界の王」だそうです。 ふたつの、核燃料サイクル実証実験施設につけられた名前は、いづれも仏教の菩薩から借りたものです。 ・文殊菩薩(もんじゅぼさつ)は「智慧」を表し、獅子にまたがっています。 ・普賢菩薩(ふげんぼさつ) は「慈悲」を表し、象にまたがっています。
仏像図
http://www.daihorin-kaku.com/buddhism/butsuzo-bosatsu.htm#monju もんじゅも、ふげんも、手名付けられなかった「死者の国の王」のです。 2004年の時点では、「知恵」も「慈悲」も通用しないことを実証しています。 ( 使われた仏教界も、憤慨しておられますが... ) 今度は、 ・弥勒菩薩(みろくぼさつ) から、名前を借りてはいかがでしょうか? なんでも 「釈迦入減( 紀元前7〜5世紀 )後、五十六億七千万年後に人間界に出現すると予言されている仏さま」 とのことなので、( 5670000000-700=5669999300 ) A.C 5,669,999,300 の稼働を目指して、じっくり腰を据えて落ち着いて、どうぞ 5670万世紀って。。。( 当面、救いはありませんな )
「仏教語 釈迦 文殊 普賢」を google
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&ie=UTF-8&q=%E4%BB%8F%E6%95%99%E8%AA%9E%E3%80%80%E9%87%88%E8%BF%A6%E3%80%80%E6%96%87%E6%AE%8A%E3%80%80%E6%99%AE%E8%B3%A2&btnG=Google+%E6%A4%9C%E7%B4%A2&lr= 「すべては人間の智恵で制御可能」と思っている人がどのくらい居るのでしょうか? つづく... ( 海外での核燃料サイクル計画の現状について )

日本国内の各関連施設( 未整理 )

再処理施設  茨城県東海村  動力炉・核燃料開発事業団  福井県美浜町   青森県六ヶ所村 日本原燃サービス株式会社...民営 ...1992年着工 高レベル放射性廃棄物貯蔵施設  青森県六ヶ所村 日本原燃産業株式会社 ...民営 ...1992年運転 ウラン濃縮施設・再処理施設 増殖炉  茨城県    常陽  福井県    もんじゅ、ふげん

関連サイト


知りたいこと( 未整理 )

  1. 広島型原爆は Uran 同位体何型か
  2. Uran の半減期は何年か
  3. Uran と比較して Plutonium は何が違うのか
  4. 被爆による影響

since 04/08/16(mon)


©